オートチェスとは
オートチェス(Auto Chess)は、Dota 2 のユーザー作成MODとして2019年に登場した「Dota Auto Chess」を指す言葉です。開発は中国の Drodo Studio によるもので、8×8の盤上にユニット(Dota 2 ヒーロー)を配置し、ラウンドが始まると自動的に戦闘が行われるという革新的なゲームシステムを採用しました。リリース直後から爆発的な人気を博し、瞬く間に新たなジャンル「オートバトラー」を確立した作品です。
オートチェスの基本的な仕組みや遊び方の詳細については、電撃オンラインのレビュー記事で詳しく紹介されています。
誕生と急成長
「Dota Auto Chess」は 2019年1月3日 にSteam Workshopで公開されました。開始から数週間で爆発的にプレイヤーが増加し、2019年2月には登録者400万人、同時接続30万人を突破。さらに同年5月には 850万人以上の購読者 を獲得し、Dota 2 のプレイヤーベースそのものを押し上げる大きな要因となりました。市場調査会社 Newzoo のレポートによれば、わずか2か月の間に Dota 2 のコアPCプレイヤーが23%増加したとされ、Dota Auto Chessが持つ影響力の大きさが数字で示されています。
ゲームシステムとルール
ラウンド制の対戦
8人で同時対戦し、各ラウンドでユニットを購入・配置する準備フェーズの後、自動で戦闘が始まります。
定期的に中立モンスター(クリープ)とのバトルもあり、ここでアイテムを入手可能です。
合成とシナジー
同一ユニットを3体集めることで上位ランクに昇格し、最大で★3まで強化できます。
種族やクラスの組み合わせにより「シナジー効果」が発動し、味方の強化や敵へのデバフが戦局を左右します。
経済システム
毎ラウンドで得られる基本収入に加え、勝利・連勝・連敗によるボーナスが存在します。
所持ゴールドの10%(最大+5G)が利子として追加されるため、資金管理が戦略の要になります。
デザインの着想
Drodo Studio は本作の着想について「麻雀の牌の組み合わせから影響を受けた」と公言しています。ユニットの組み合わせやシナジー、合成といった要素は、麻雀における“面子作り”に通じる仕組みです。
また、オートチェスというジャンルそのものについての解説は、e-xtremeの記事でも詳しく触れられています。
オートバトラーへの発展
Dota Auto Chess の成功を受け、2019年には複数の派生タイトルが誕生しました。Valve は Drodo Studio と協議の末、独自に 『Dota Underlords』 を開発し、2019年6月20日に早期アクセスを開始。
Drodo Studio 自身も、Dragonestと提携して Dota の要素を外した独立版 『Auto Chess』 をモバイルおよびPC向けにリリース。
Riot Games もこの流れを受け、2019年6月26日に『League of Legends』内で 『Teamfight Tactics』 をリリースし、オートバトラーというジャンルが世界的に広がりました。
公式支援と収益化
Valve はMOD版の継続を支援し、2019年6月1日 にはDota 2 内に「Auto Chess Pass」を導入。これによりプレイヤーは課金要素を通じてDrodo Studioを支援できる仕組みが整えられました。
まとめ
オートチェスとは、2019年にDota 2のMODとして登場した「Dota Auto Chess」を起点に誕生した新ジャンルです。麻雀的な発想を取り入れたシステムと、経済戦略・自動戦闘という革新性によって瞬く間に世界中で人気を集めました。その後、Valveの『Dota Underlords』、Drodoの独立版『Auto Chess』、Riot Gamesの『Teamfight Tactics』へと展開し、オートバトラーという新しいジャンルを確立しました。オートチェスは単なる一時的なブームではなく、ゲーム業界に新たなスタイルを生み出した歴史的作品として評価されています。